君に、退屈を、
あの日は、とても、風の強い日だった
私は、友達と別れ、坂の上の家になっている苺を、盗み食いしていた
誰と、何を話していたかは、記憶に定かでないが、その、苺と呼ぶには、酸っぱすぎる果物の味は、よく覚えている
苺を口に咥え、汗を手の甲で拭っていると、不意に、くしゃみが出た
何も無かったように、苺を食べ続けていると、私は、奇妙なことに気づいた
空の一部が、「欠けて」いるのだ
それは、雲を見間違えたわけではない
私は、ドラッグなど、試したことすらないし、酒好きだが、その時は、シラフだった
それ以前も、それ以降も、一度たりとも精神科に通院したこともないし、夢と呼ぶには、あまりに現実過ぎた
それは、茹で具合を間違えた、ゆで卵の殻を剥いた跡のように、無様な空、だった
しばらく、眺めた後、私は、坂の下の文房具店へ、下手な笑顔を浮かべながら、走り出した
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