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就活って何だ―人事部長から学生へ (文春新書)
森 健
文藝春秋
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 一流企業の人事部長や、それに相当する役職にある人たちへのインタビューをまとめた本

 面白い本ではあったのだが、題名とは裏腹に就活生の役に立つとは思えなかった


 これは、インタビューを受けた人たちはポジショントークをせざるを得ないから当然だろう

 企業名や個人名を出した取材ということで、企業の代表として就活生や本書を読む可能性のある人たちを意識せざるを得ないし、企業の理念を語ったり就活生へのメッセージを送る部分は、どの人物の発言に関しても勿論そこまで突飛なことは語ることはできないので、面白みは感じられなかった


 そんな中で印象深かったのはどの人か忘れたのだが、「企業が人を採用するのは大きな投資」という旨の発言をしていたことだった

 サラリーマンの生涯年収は2~3億円なわけで、人を一人採用することはそれだけの額を投資するということで言われてみれば当然なのだが、コロンブスの卵的な発想だなと思った

 インタビューの中では、就職後のギャップを埋めるために試験の前や面接をする際にも様々な工夫をしていることが語られるが、それは投資のためにリスクヘッジをしているという見方もできる



 だが、最初に書いた面白さというのはそういう新人を採用する際に企業が気をつけていることよりも、これまでに試験を受けてきた学生の話にあった

 人事を取り仕切るということは、つまり就職をしたい人間に沢山会うということで、多くの人間にとって人生の分岐点となった場所に立ち会っているということだ

 就職をするために精一杯アピールをしたり、空回りをしてしまったり、嘘をついたりしている人間に大勢会ってきているわけで、そういう就活生たちのエピソードが面白くないわけがない

 むしろ「こういう面白い就活生がいました」というエピソードのみを各企業の人事部長に聞いて回ったら面白い本が出来るのではないかと思うぐらい、その個別のエピソードは面白かった


 また、それぞれの人のこれまでの人生を語っている部分も面白かった

 企業人としてではなく、一個人としてふっと覗いたその油断した表情が見えている感じがしていい



 ところで、一番異彩を放っていてダントツで面白かったのはバンダイの人

 

 バンダイは受験者に高学歴者が多く、インタビューを受けた人もそれが不思議で若手の社員に尋ねたところ、「バンダイは採用基準がわからないために難易度が高い」と学生から見られているという

 受験者に何故高学歴者が多いのか疑問に思うというのをインタビューで語っている時点でちょっと変わっているなと思うが、さらに試験内容も変わっていて、「10円玉を100円玉にしてください」という質問があったりする

 また、これまで社内で行ってきた事業の話なども変わっていて、そのぶっちゃけ具合が他の人たちよりも飛びぬけている



 最初に書いたように、就活生の役に立つとはとても思えなかったのだが、就活をした人もそうでない人も、ページの行間にちらちら見える人間模様、人間臭さは面白いと思うに違いない

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